オイルフィニッシュ その3|傷・音・湿気・メンテナンスについて

オイルフィニッシュ その3|傷・音・湿気・メンテナンスについて

「オイルフィニッシュ その1」では基本的な考え方を、「その2」では施工方法を説明しました。

この「その3」では、実際にギターを使っていく上で気になる点についてまとめます。


1. オイルフィニッシュは傷つきやすいのか?

「塗膜がないから傷つきやすい」という説明を見かけますが、これは半分正しく、半分誤解があります。

確かに厚い塗膜がないため、木材そのものに傷が入ればその傷は木材の傷になります。

しかし、普通にギターを弾いているだけで簡単に傷だらけになるわけではありません。

実際に木材へ傷をつけるには、それなりの衝撃や硬いものによる引っかき傷が必要です。


2. 塗膜仕上げとオイルフィニッシュの傷の違い

ラッカーやウレタンでは、まず塗膜に傷が入ります。

オイルフィニッシュでは、表面が木材に近いため、傷が木材に直接入ることがあります。

これは弱点でもありますが、同時にメリットでもあります。

傷が入った場合に、

  • 「塗膜をどう修復するか」ではなく
  • 「木材をどう整えて再仕上げするか」

という考え方ができます。


3. 傷がついたらどうするのか?

浅い傷なら表面を整えて再度オイルを施工できます。

深い傷なら木材そのものを整形する必要がありますが、厚い塗膜を再現する必要がないため、リフィニッシュは比較的容易です。


4. オイルフィニッシュは湿気に弱いのか?

木材は湿度の影響を受けます。

オイルフィニッシュだから極端に弱くなるわけでも、逆に完全に湿気を防げるわけでもありません。


5. エレキギターとアコースティックギターの違い

アコースティックギターは木材の振動が音を作るため、湿度の影響が大きいです。

一方、ソリッドボディのエレキギターでは、湿度による音の変化はそこまで大きくありません。

少なくとも、私の製作経験では「オイルフィニッシュだから湿気で音が大きく変わる」ということはありません。


6. オイルフィニッシュなら音が良くなるのか?

結論:単純にそうとは言えません。

仕上げだけで音を説明することはできません。

オイルフィニッシュのメリットは、

「厚い塗膜による影響を避けられる」

という点です。


7. オイルフィニッシュのメンテナンス

通常使用であれば、頻繁にオイルを塗り直す必要はありません。

表面の状態を確認し、必要に応じてワックスでメンテナンスすれば十分です。


8. 蜜蝋ワックスによるメンテナンス

私のオイルフィニッシュでは、最終仕上げに蜜蝋ワックスを使用します。

使い込んで表面の艶や手触りが変化してきた場合には、再度ワックスで手入れできます。


9. オイルフィニッシュは「修理しやすい」

傷がついたら直し、使い込んだら整える。

オイルフィニッシュは、使いながら維持できる仕上げです。


10. オイルフィニッシュに向いているギター

  • 木材の表情を活かしたいギター
  • 木材そのものの手触りを楽しみたいギター
  • 製作費を抑えたいギター
  • 経年変化を楽しみたいギター
  • カスタムギター

11. オイルフィニッシュに向いていない場合

  • 完全な塗りつぶしカラーにしたい
  • 強固な表面塗膜を最優先したい
  • 新品時の外観を長期間維持したい

12. まとめ

オイルフィニッシュは「安い塗装」ではありません。

木材を必要以上に覆わず、使いながら変化し、必要なら自分で手を入れていける。

私はその考え方に価値を感じています。


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