オイルフィニッシュ その3|傷・音・湿気・メンテナンスについて
2026年8月8日
オイルフィニッシュ その3|傷・音・湿気・メンテナンスについて
「オイルフィニッシュ その1」では基本的な考え方を、「その2」では施工方法を説明しました。
この「その3」では、実際にギターを使っていく上で気になる点についてまとめます。
1. オイルフィニッシュは傷つきやすいのか?
「塗膜がないから傷つきやすい」という説明を見かけますが、これは半分正しく、半分誤解があります。
確かに厚い塗膜がないため、木材そのものに傷が入ればその傷は木材の傷になります。
しかし、普通にギターを弾いているだけで簡単に傷だらけになるわけではありません。
実際に木材へ傷をつけるには、それなりの衝撃や硬いものによる引っかき傷が必要です。
2. 塗膜仕上げとオイルフィニッシュの傷の違い
ラッカーやウレタンでは、まず塗膜に傷が入ります。
オイルフィニッシュでは、表面が木材に近いため、傷が木材に直接入ることがあります。
これは弱点でもありますが、同時にメリットでもあります。
傷が入った場合に、
- 「塗膜をどう修復するか」ではなく
- 「木材をどう整えて再仕上げするか」
という考え方ができます。
3. 傷がついたらどうするのか?
浅い傷なら表面を整えて再度オイルを施工できます。
深い傷なら木材そのものを整形する必要がありますが、厚い塗膜を再現する必要がないため、リフィニッシュは比較的容易です。
4. オイルフィニッシュは湿気に弱いのか?
木材は湿度の影響を受けます。
オイルフィニッシュだから極端に弱くなるわけでも、逆に完全に湿気を防げるわけでもありません。
5. エレキギターとアコースティックギターの違い
アコースティックギターは木材の振動が音を作るため、湿度の影響が大きいです。
一方、ソリッドボディのエレキギターでは、湿度による音の変化はそこまで大きくありません。
少なくとも、私の製作経験では「オイルフィニッシュだから湿気で音が大きく変わる」ということはありません。
6. オイルフィニッシュなら音が良くなるのか?
結論:単純にそうとは言えません。
仕上げだけで音を説明することはできません。
オイルフィニッシュのメリットは、
「厚い塗膜による影響を避けられる」
という点です。
7. オイルフィニッシュのメンテナンス
通常使用であれば、頻繁にオイルを塗り直す必要はありません。
表面の状態を確認し、必要に応じてワックスでメンテナンスすれば十分です。
8. 蜜蝋ワックスによるメンテナンス
私のオイルフィニッシュでは、最終仕上げに蜜蝋ワックスを使用します。
使い込んで表面の艶や手触りが変化してきた場合には、再度ワックスで手入れできます。
9. オイルフィニッシュは「修理しやすい」
傷がついたら直し、使い込んだら整える。
オイルフィニッシュは、使いながら維持できる仕上げです。
10. オイルフィニッシュに向いているギター
- 木材の表情を活かしたいギター
- 木材そのものの手触りを楽しみたいギター
- 製作費を抑えたいギター
- 経年変化を楽しみたいギター
- カスタムギター
11. オイルフィニッシュに向いていない場合
- 完全な塗りつぶしカラーにしたい
- 強固な表面塗膜を最優先したい
- 新品時の外観を長期間維持したい
12. まとめ
オイルフィニッシュは「安い塗装」ではありません。
木材を必要以上に覆わず、使いながら変化し、必要なら自分で手を入れていける。
私はその考え方に価値を感じています。