なぜ格安でオーダーギターを作れるのか

ギター製作についての思想

なぜギターを作るに至ったのか。それは、自分自身の経験からです。

安いギターでは物足りない。かといって、高額なギターをおいそれと買うこともできない。「ならば自分で作ればいい。」誰もが一度くらいは考えることかもしれません。私は、それを実行しました。そして製作したギターを公開したところ、次第に製作の依頼をいただくようになりました。

自身もギタリストである以上、ギター製作で重視するのは弾きやすさと音質です。はっきり言えば、外見のきらびやかさは必要ありません。もちろん、美しいギターを否定するつもりはありません。しかし、儲けることだけを考えるなら、高価な材やパーツを使って価格を上げることはできます。けれど、それは必ずしも弾きやすさや音質とイコールではありません。高価であることと、良いギターであることは、同じではないからです。

私はギターをコレクトしません。弾き倒します。だから、弾きやすいギターを作りたい。いい音がするギターを作りたい。そこに、複雑な木工工程や分厚い塗装、高額で希少な木材が必ず必要なわけではありません。ただ、いいギターを作る。それだけです。

なぜ格安なのか? その理由

逆に聞きたい。なぜ、ギターはそんなに高額になるのでしょうか? どこに、どれだけのコストが掛かっているのでしょうか。

私が目指しているギターは、信頼できる木材業者から素材を仕入れ、国産のパーツを使い、手作業で加工し、オイルフィニッシュする。基本的には、それだけです。

もちろん、ギターを一本完成させるには技術が必要です。切る。削る。磨く。組み込む。そこには、長年の経験と技術が必要になります。だから、製作に対する対価は必要です。しかし、私はそこに必要以上のコストを積み上げません。

ジェイズギタージムでは、私一人がすべての工程を行います。材料を選ぶ。加工する。組み込む。仕上げる。そして、最終的な価格も私自身が決めます。つまり、余計な流通コストやブランド価値によって価格を膨らませる必要がありません。

オーナー自身が考えたデザイン。そして、弾きやすく、いい音のするギター。それを、できるだけ手の届きやすい価格で手に入れてもらう。その夢に、私自身も便乗したい。ただ、それだけのことです。

今後の展望と木材の枯渇問題

現在、オーダーを受け付けているのは、ネックを取り外すことのできるボルトオン構造のみです。以前はセットネックも製作していました。しかし、試行錯誤を重ねる中で、自分が求める音とは違うと判断し、現在は提供をやめています。

今後は、自分自身が考える理想のギターをさらに追い求めたい。ただ、それがどんなギターなのか。まだ、はっきりとは見えていません。だからこそ、面白い。

一方で、ギター製作を取り巻く環境は変化しています。希少な木材や定番材の供給には制約が生じ、価格も上昇しています。それに伴い、パーツなどの価格も上がっている。今後、この流れはさらに加速するかもしれません。

そうなったとき、どんなギターを作っていくのか。これまで「ギター材」として定番とされてきた木材だけではなく、今まであまり注目されてこなかった素材にも目を向ける必要があるでしょう。

しかし、そこには一つの難しさがあります。定番の木材にしか心が躍らない人。ヴィンテージ至上主義。SNSで語られている評価を、そのまま受け取ってしまうこと。そうした既存の価値観は、新しい素材を試すときの障害にもなります。もちろん、それ自体が悪いわけではありません。長い歴史の中で評価されてきたものには、それなりの理由があります。だからこそ面白い。

既存の評価を疑い、自分自身の耳と手で確かめる。その先に、新しいギターの可能性があるのかもしれません。自分の嗅覚で素材を選び、自分の手で作り、自分の耳で確かめる。その結果、どんなギターに辿り着くのか。まだ答えはありません。

いかに突破するか。それが、これからのギター製作における私自身の課題であり、展望です。


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